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取得原価をうたう有形固定資産の会計処理であるが、減損が認められると、次のIAS36号が適用となる。
しかし、1998年6月に公表されたIAS36号規定では、有形固定資産について、資産の減損の有無をチェックし、減損の兆候があると認められる場合については減損処理を行う旨規定されたここでの減損とは、新たに査定した「回収可能額」が簿価を下回る場合に、簿価を回収可能額まで引き下げることを言う。
回収可能額は、所有不動産を市場で売却して得られるキャッシュフローである「正味売却価格」と、事業を継続することによって得られるであろうキャッシュフローと将来における資産処分で得られると予測されるキャッシュフローの現在価値である合計である「使用価値」のうち、高い額を指す。
なぜ高い額かというと、最終的に事業を継続することにより得られる使用価値が、現時点で売却することで得られる「正味売却価格」を上回るのであれば、当然事業を継続するであろうと考えられるからである。
回収可能額の算定基準となる、正味売却価格と使用価値は次の通りである。
正味売却価格売買の当事者:いずれも不動産取引についての知識がある自発的な独立した者であるお互いに第三者である正味実現価格=売却額一処分費用使用価値資産の継続使用による見込キャッシュフローの現在価値十処分によって生ずる見込キャッシュフローの現在価値現時点では日本の会計基準には、減損に関する規定はなく今後の動向が注目されるが、いくつかの先進的な企業では減損会計に対応すべく準備をしているという。
現時点では時期尚早と考える向きもあるが、近い将来は制度化される可能性(2002年度あるいは2003年度)があると見られている。
一方で、日本の不動産価格は10年にわたり下落を続けており、企業保有資産の多くにおいて資産価値の劣化が起こっているはずである。
当然にして減損の対象となる企業の保有不動産は多いと考えられる。
今後の動向次第では、多くの企業が減損による簿価引き下げを余儀なくされるであろう。
その結果、企業のバランスシートはより時価を反映したものになり、一般投資家の企業評価はより容易になる。
もとよりこれまでのような一方通行の情報開示では、投資家保護という面では及第点を取ることはできない。
投資家あっての企業でもあり、優勝劣敗は経営の健全性をも示すバロメーターでもある。
とりわけ、日本企業の多くが「含み損」を処理できずにいるのが現状であるから、この「減損」についての仕組み作りは興味深いテーマである。
企業が投資目的で保有している不動産についての時価会計処理を規定したものが、IAS40号である。
これは2000年3月に正式決定されたもので、実際の運用は2001年3月期(2000年度)からとなる。
ここで投資用不動産は、「賃貸料またはキャピタルゲインを獲得するために保有され、かつ、企業が当該不動産を取得した時点で継続して当該不動産の公正価値が信頼を持って測定可能であることが規定できるもの」と定義されている。
投資用不動産について、取得原価または時価いずれで計上するかは企業の任意とされているが、取得原価で計上する場合は減損を行った原価(現時点で損失が発生している場合はその損失処理をしたもの)での計上とし、注記による時価の記載が義務付けられている。
任意選択は有形固定資産の会計処理と似ているものの、原価に関しては減損処理を指示しているところが、一歩踏み込んだ内容といえる。
国際会計基準は不動産を、「棚卸資産」「有形固定資産」「投資用不動産」の3つに分類し、それぞれの資産ごとに価値概念を規定している。
棚卸資産については、強制評価減の制度を有しており、また、有形固定資産と投資用不動産については、取得原価と資産価値の再評価による公正価値の選択適用としていながらも、資産の減損の兆候があれば「減損処理」を要請することで、時価評価に近づける方向を目指している。
「正常価格とは市場性を有する不動産について合理的な市場で形成されるであろう市場価値を表示する適正な価格をいう。
この場合において合理的な市場とは市場統制等がない公開の市場で、需要者及び供給者が売り急ぎ。
買い進み等といった特別の動機によらないで行動する市場をいう」この定義をみると、「合理的な市場」という言葉が非常に重要な意味を持つということがわかる。
実際の不動産の市場では、需要者・供給者それぞれの持つ「事情」があり、当然売買価格に上下の格差が生ずるものである。
しかし、不動産鑑定士はこのような事情等を排斥し、自らが合理的な市場に成り代わって鑑定評価を行うことが要請されており、正常価格はそれを前提とした価格を示していることになる。
なおこの正常価格には売買により必要となる費用は考慮されていない。
ところで、地価公示制度の公示価格や都道府県地価調査の標準地の価格も正常価格を求めているものである。
したがって、不動産鑑定士は「不動産鑑定評価に関する法律」で、土地の評価を行う場合は、公示価格を規準とするよう規定されている。
しかし、この正常価格を国際会計基準の不動産価値にそのまま持ちこむと、その定義づけから見ても時価とは多少ズレが生じても不思議ではない。
おそらくは、国際会計基準で規定する公正価値は正常価格に非常に近いものになるとも考えられるがその帰結は微妙だ。
また、棚卸資産で規定する「正味実現可能価額」と資産の減損で規定する「正味売却価格」においては、直接正常価格をはめこむと原価、費用面を控除していない形となるから明らかに間違いといえる。
これに対し、公正価値とは「十分な知識を持った、自発的な、独立事業者間の公正な取引で資産が交換される場合の価額」となっており、そこには恐意性が働いてはならないとの内容となっている。
それではIASが規定する各資産と正常価格との関係を見てみよう。
各資産の評価と正常価格の関係。
棚卸資産の場合、正味実現売却可能価値は見積売価から見積原価と見積費用を控除して求める。
ここにいう見積売価には市場における売買を前提とした市場価値が該当すると考えられる。
市場価値は必ずしも正常価格と一致するものではないが、見積売価に正常価格をあてはめて考えることはおおむね妥当と考えられる。
有形固定資産有形固定資産の評価では取得原価によることが原則であり、代替処理として公正価値による評価を認めているが、ここにいう公正価値とは、十分に知識を持った自発的な独立当事者間の公正な取引で資産が交換される場合の価額をいう。
多少のニュアンスの違いはあるが正常価格の定義に類似するものである。
したがって公正価値に正常価格をあてはめて考えることはおおむね妥当と考えられる。
資産の減損(減損会計)減損会計では使用価値と正味売却価格のうちのいずれか高い金額を回収可能額として採用する。
このうち正味売却価格は売却価格から処分費用を控除して求めるが、売却価格について正常価格をあてはめて考えることはおおむね妥当と考えられる。
一方、使用価値についてであるが、これは資産の継続的使用と耐用年数終了時における処分によって生じると予測される見積将来キャッシュフローとを現在価値に割り引いたものの合計と考えられる。
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